理念
「空手道」とは、人間が正しく生きてゆく為の「人格」を学ぶ武道であり、その真髄は稽古を通じて心・技・体の3つが一体となり、成長を目指す所にあります。つまり、力や技の優劣を競う事だけではなく、空手道を通じて老若男女がお互いに尊重しあえる「人」として、日々稽古を重ねていくと言う事であります。
日本空手松涛連盟では、技能の程度や目的に応じた指導を行い、新たなる理想である「生涯空手」を掲げて、空手道が幅広い年齢層へ普及・発展し、社会全体の利益となるように目指しております。
歴史・系譜
松涛連盟の系譜は、3人の偉大な先人の足跡からたどることができます。
船越義珍先生、中山正敏先生、浅井哲彦先生です。
そして現在も、その偉大なる先人達の意思を引き継いだ香川政夫首席師範の元、日本空手松涛連盟は大きく成長し続けています。
松涛館流の開祖は、大正末年、「唐手(からて、トゥーディー)」発祥の地・沖縄から本土にやってきた船越義珍先生です。船越先生は、沖縄古武術であった「唐手」を武道である「空手道」に改変し、本土の大学生たちに教えました。いまの大学空手道の原点です。
船越先生の空手道を、戦後、大きく発展させたのが、弟子の中山正敏先生でした。中山先生は、それまで、見よう見まねで師から弟子へと継承されてきた「唐手」の基本や型稽古を理論化し稽古方法の体系化を確立しました。さらに、それまでの空手には存在しなかった「試合」のルールを確立し、近代空手道の礎を築きました。
中山先生が築き上げた「近代空手道」を継承し、あらたな境地に踏み出したのが、松涛連盟の前首席師範である浅井哲彦先生です。この浅井先生が、近代空手道をさらに武道として進化・深化させるべく2000年に発足させた会派こそが、日本空手松涛連盟です。
松涛連盟独自の基本型「順路初段〜五段」や「17の古典型」の制定、車椅子空手道の立ち上げといった斬新で大胆な「改革」は、どれも浅井先生の試みです。
回転運動と、身体を鞭のように柔らかくつかう技を多用する順路形、古典形には、浅井先生が武道空手として目指した理想的な身体の使い方が投影されています。
自在に身体を操り、俊敏で強い技を繰り出した、往年の浅井先生は、大病を煩い71歳で他界する直前まで、年齢による筋力の低下があっても、瞬発力を引き出すことができれば、一撃で相手を倒す突きや蹴りが可能であることを、自ら実践し、自ら証明されていました。
浅井先生没後、その意思を継いだのが、現在の首席師範である香川政夫師範です。香川師範は、帝京大学での長年の指導を通して、世界を舞台に活躍する選手や、日本を代表する選手を数多く育ててきました。さらに、全日本空手道連盟で、強化委員会委員長としてナショナルチームの選手たちを率いて世界の動向に接してきた香川師範は、武道と競技を融合する独自の指導法を実践し、数多くの選手、数多くの指導員を養成してきました。
現在、松涛連盟では、国内はもとより、全世界に指導員を派遣しています。
2015年7月現在、松涛連盟には、国内の約200支部が加盟し6000人超の会員がおります。さらに海外でも欧州を中心に約60ヶ国の支部が加盟し、その輪はさらに広がり続けています。